2010年3月6日土曜日

年をとった鰐


フランスの作家、レオポルド・ショヴォーの傑作
『年をとった鰐』をアニメーション作家山村浩二が
アニメーションにし、それをもとに構成された絵本。

その名のとおり、ずいぶんと年をとったワニの話。
周りのワニから尊敬されるほどの長生き者のワニ。
そんなワニはある時ひ孫のワニを食べます。
そして、死刑が決定。
尊敬を失ったワニは耐え切れず、一人海へ出ます。

そこで出会う“数を数えられない”タコ。
彼女はとても愛情が深く、知的で、理解があり、
年をとってなかなか動けないワニのために魚をとって与えます。
ワニはそんなタコを愛しながら、
毎夜、彼女の足を1本ずつ食べていきます。
数を数えられないのをいいことに。

そして、とうとう胴体だけになったタコをペロリ。
彼女を心底うまいと思ったワニは、後悔の涙を流します。


この本について色々と考えようとするとよくわからなくなってきます。
ひとつの答えを出せないときのような。
この本の語り口のように、淡々と語られる“物語”なんですね。
この本に何かを求めちゃ駄目なのかもしれません。
ただ読んだ後には心の中に一つ重しがのったような
そんな感覚になりました。

読む人それぞれにそれぞれの感情を見つけられる
そんな本です。


プチグラパブリッシング発刊
年をとった鰐 2,415yen(税込)